2013年06月19日
投資銀行青春白書
投資銀行青春白書
保田隆明 著
<インベストメント・バンキング>
銀行といっても、いつもATMを利用している静〇銀行とは違います。もちろん東京〇菱・・銀行とか三井◇友銀行とも違います。物語の舞台となる「投資銀行(インベストメントバンキング)」は外資系の「証券会社」です。
JPモ〇ガン、ゴールド◇ンサックス、モルガン△タンレーなど、静岡ではあまり馴染みがありませんが、名前は聞いた事があると思います。
これらの証券会社は、業務内容から以下のセクションに大別されます。
①セールス部門・・・・・・・・・・・・(顧客から有価証券を預かり、売買して手数料を稼ぐ仕事)
②トレーディング部門・・・・・・・(自己勘定で有価証券を売買し自社の損益とする仕事)
③投資銀行本部・・・・・・・・・・・・(上場企業等を対象に資本政策などを提案し報酬を得る仕事)
この物語は③が舞台です。マンハッタン証券投資銀行本部へ配属された新人の主人公「下園雅」が上司の平井(エグゼクティブ・ディレクター)・梶田(ヴァイス・プレジデント)と共に、顧客である「メリー化粧品」に外国の化粧品会社「コスメアーサー」の企業買収を提案し、実現に向けて奮闘するお話です。
本書はM&Aの参考書などではなく、外資系企業を舞台としたエンターテイメントです。
専門書として吸収すべきノウハウの記載はほとんどありません。しかし、外資系企業での働き方とか、フィービジネスに携わる者の姿勢など、考えさせられる事は多く、私はとても気に入りました。
<投資銀行部門の仕事>
私自身はこのような会社で働いた事はありませんので、詳しく分かりません。しかし私はサラリーマン時代に一部上場企業の財務部門に所属していた(つまり顧客側ですね)ので、少しだけこういった人たちの仕事を垣間見る事ができました。
顧客会社を良くするために、彼らは資本政策を中心に様々な提案を持ってきます。企業の買収(M&A)、増資・減資、自己株式取得、株式売り出し、株式分割などを提案し、顧客企業がその案を採用すると「代理人」や「アドバイザー」となって実務に携わりフィーを稼ぐのです。
彼らの「会社を良くする」の内容は少し独特です。彼らの重視する価値観は「投資家から見て魅力的な会社」であり、投資家から見た「企業価値の向上」を目指すものなのです。この株主(又は投資家)重視の思想は、株主及びその他のステークホルダー(債権者・従業員・サービスを利用する顧客)へのバランスの取れた利益配分を目指す日本型の経営とは方向性が少し違っているように思います。
インベストメントバンカーの働き方は凄まじく、深夜・早朝をものともせず、限られた時間の中で驚くべき業務量をこなします。
命をすり減らして働いているのでは?とすら思える彼らは、モチベーションや価値観が普通のサラリーマンとは根本的に違うのかもしれません。
<この会社では人件費は「変動費」なんだ>
本書の中の言葉です。仕事量に応じて人材を確保する、仕事量が減れば業績・効率の悪い人材から順に解雇する。退職金や企業年金などは殆ど無く、その代わり現在の仕事に対する賃金は高い。従業員側も今の会社に固執せず、仕事の中で自身の価値やノウハウを高め、自分を高く評価してくれる企業、より処遇の良い企業へ転職を繰り返す。
日本型の雇用に馴染んだサラリーマンには耐えられない厳しさかもしれません。その反面、こういった制度なら、本当に能力を持った人が上手く評価されず組織の中に埋もれてしまうという事も無いのかもしれませんね。
(Amazon.comにて購入)
保田隆明 著
<インベストメント・バンキング>
銀行といっても、いつもATMを利用している静〇銀行とは違います。もちろん東京〇菱・・銀行とか三井◇友銀行とも違います。物語の舞台となる「投資銀行(インベストメントバンキング)」は外資系の「証券会社」です。
JPモ〇ガン、ゴールド◇ンサックス、モルガン△タンレーなど、静岡ではあまり馴染みがありませんが、名前は聞いた事があると思います。
これらの証券会社は、業務内容から以下のセクションに大別されます。
①セールス部門・・・・・・・・・・・・(顧客から有価証券を預かり、売買して手数料を稼ぐ仕事)
②トレーディング部門・・・・・・・(自己勘定で有価証券を売買し自社の損益とする仕事)
③投資銀行本部・・・・・・・・・・・・(上場企業等を対象に資本政策などを提案し報酬を得る仕事)
この物語は③が舞台です。マンハッタン証券投資銀行本部へ配属された新人の主人公「下園雅」が上司の平井(エグゼクティブ・ディレクター)・梶田(ヴァイス・プレジデント)と共に、顧客である「メリー化粧品」に外国の化粧品会社「コスメアーサー」の企業買収を提案し、実現に向けて奮闘するお話です。
本書はM&Aの参考書などではなく、外資系企業を舞台としたエンターテイメントです。
専門書として吸収すべきノウハウの記載はほとんどありません。しかし、外資系企業での働き方とか、フィービジネスに携わる者の姿勢など、考えさせられる事は多く、私はとても気に入りました。
<投資銀行部門の仕事>
私自身はこのような会社で働いた事はありませんので、詳しく分かりません。しかし私はサラリーマン時代に一部上場企業の財務部門に所属していた(つまり顧客側ですね)ので、少しだけこういった人たちの仕事を垣間見る事ができました。
顧客会社を良くするために、彼らは資本政策を中心に様々な提案を持ってきます。企業の買収(M&A)、増資・減資、自己株式取得、株式売り出し、株式分割などを提案し、顧客企業がその案を採用すると「代理人」や「アドバイザー」となって実務に携わりフィーを稼ぐのです。
彼らの「会社を良くする」の内容は少し独特です。彼らの重視する価値観は「投資家から見て魅力的な会社」であり、投資家から見た「企業価値の向上」を目指すものなのです。この株主(又は投資家)重視の思想は、株主及びその他のステークホルダー(債権者・従業員・サービスを利用する顧客)へのバランスの取れた利益配分を目指す日本型の経営とは方向性が少し違っているように思います。
インベストメントバンカーの働き方は凄まじく、深夜・早朝をものともせず、限られた時間の中で驚くべき業務量をこなします。
命をすり減らして働いているのでは?とすら思える彼らは、モチベーションや価値観が普通のサラリーマンとは根本的に違うのかもしれません。
<この会社では人件費は「変動費」なんだ>
本書の中の言葉です。仕事量に応じて人材を確保する、仕事量が減れば業績・効率の悪い人材から順に解雇する。退職金や企業年金などは殆ど無く、その代わり現在の仕事に対する賃金は高い。従業員側も今の会社に固執せず、仕事の中で自身の価値やノウハウを高め、自分を高く評価してくれる企業、より処遇の良い企業へ転職を繰り返す。
日本型の雇用に馴染んだサラリーマンには耐えられない厳しさかもしれません。その反面、こういった制度なら、本当に能力を持った人が上手く評価されず組織の中に埋もれてしまうという事も無いのかもしれませんね。
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Posted by 書架の番人 at 08:11
│財務管理・資金繰り