2017年05月23日

これは経費で落ちません!2

これは経費で落ちません!2
青木祐子 著




<待望の続編>
以前ご紹介した「これは経費で落ちません!~経理部の森若さん~」の続編です。前回同様、慣れによる社内経費の私的流用を主題とした小説です。会社の経理といえば、普段はあまり目立つ事は無く地味な存在ですから、ちょっと変わった小説と言えるでしょう。
とは言え、前回とても楽しく読めましたので、きっと続編が出ると思っていました。


<経費の倫理感>
さて、この小説では、主人公の森若さんは、不正や経費の使い込みを見つけても、それを白日の下に晒そうとはしません。しっかりとした裏を取った上で、本人と「交渉」し落としどころを探します。そして結果的に今後は使い込みをし難いように仕向けます。

ある意味、とても「大人の対応」だと思いますが・・・果たしてそれで良いのか、「経理」を職業としている者としてはチョット歯がゆく感じます。


<バックリベート>
この本「第2巻」の最終話はバックリベートのお話です。(仕入業者等から当社社員が内緒でリベートを受け取っているケースです。)自社のお金を横領する訳ではないので、ともすると張本人は罪悪感が薄いのかもしれません。でも、結果的にそのバックリベート分は仕入れ値が高くなったり、より優れた他社商品の仕入れを阻んでいるのですから、自社に多大な損害をもたらしている事に変わりはありません。

<やっぱりスーパー経理マン!>
税務調査等で、こういったバックリベート等の不正が発覚する事があります。税務調査は当社の経理だけでなく、相手側の処理との整合も見るのでこういうものが発覚するのですが、自社側の経理しか見れない立場の人間がバックリベートに気づくというのは相当な「経理の達人」です。やっぱり、森若さんは凄腕経理マンですね。

また続編が出そうな雰囲気です。楽しみですネ。

(丸善ジュンク堂書店 新静岡店にて購入)




  


Posted by 書架の番人 at 08:11会計

2016年07月11日

これは経費で落ちません

これは経費で落ちません ~経理部の森若さん~
青木祐子 著



<経費の可否判断>
「これは経費で落ちません」という題名ですが、実際に経費の可否判断が物語の進行に絡むシーンはありません。残念ながら「経理のお勉強」の一助となるような本ではありません。 経理担当者のOLを主人公にしたライトなタッチの社内小説です。  でも侮る無かれ、意外とこういった小説の1シーンに現実で出くわすこともあるのです。


<経理ウーマンの鏡>
最近どこの企業でもOA化が進み、「伝票起票」「領収書」「経費精算」の仕事を行う経理担当者は少なくなってきましたね。

主人公「森若沙名子」さんは制服を着て、手に黒い腕カバーを付けて仕事をする典型的な経理ウーマンです。
地味な27歳の質素系OLで「経理マン」の鏡のような性格です。(良く見ると実は美人・・・という設定は小説ならではですが・・・)

与えられた仕事は確実にこなす。数字やルールには厳しいが、各部署の問題へ必要以上に踏み込まない。常に冷静沈着で合理的な判断を行い、感情を仕事に持ち込まない。社内の恋愛話や秘密話を聞くと、公平性を諮るためその話題から距離をおきます。彼女自身の私生活も質素で合理的、買い物内容から冷蔵庫の在庫まで無駄がありません。全てに無駄がなさ過ぎて彼氏なし、恋愛経験なしです。
上司のみならず社内の信頼は非常に厚いのですが、ともすると「冷たい人」「怖い人」と言われがちです。


<企業情報が集まる部署>
経理というとどうしても「事務」という性格から地味な部署と位置づけられがちです。
営業第1主義の会社などでは、経理は日陰者となりがちですね。

しかし、会社の「経理情報」は人間の神経系統と同じです。お金が動く全ての取引・行動の情報が経理に集まります。
伝票の1枚1枚は単純なものですが、その担当者は誰か、どこの部署・場所で発生しているか、そして同時期に発生した他の伝票を組み合わせて考えると、映画のワンシーンのようにその場の情景が見えてきます。


<スーパー経理マン>
ただし、これを上手く読み解けるのかどうかは、担当者の経験と資質次第です。主人公の森若さんはこれを自在に読み解くのですね。
それどころか、その裏まで読んで、何があったのか推測し、必要があれば行動に出ます。  格好いいですね! 経理マンはかくありたい!と思います。


<合理的すぎて隙が無い>
若手男性社員から親しくされても、仕事上の利点から自分に近づいてくるのだと思い込んだり、食事に誘われても、自宅の冷蔵庫に保存した食べ物の賞味期限を気にして「無理です」と答える辺り、何とも変わった主人公です。

こんな感じで前半は比較的単調なお話しが続きます。読者としては少し面倒にすら感じるのですが、それが最後に少しだけ「森若」さんの合理性が崩れた時の「ほっこり」した幸せ感を大きなものにしているのでしょう。

娯楽小説ですが、面白かったです。続きが出てくれると嬉しいですね。

(戸田書店静岡本店にて購入)




  


Posted by 書架の番人 at 08:05会計

2015年10月23日

決算書を使う技術

決算書を使う技術
川口宏之 著




<簡素で分かりやすい>
かんき出版のシリーズものの1冊です。このシリーズはシンプルで分かりやすく、時間の無い時や疲れている時でも手に取りやすいため、個人的には好感を持っています。

本書は、冒頭で簡単に貸借対照表や損益計算書の基礎を解説し、その後経営分析に使われる指標を説明、後半は有名企業の決算書を基にその分析の解説をしています。各経営分析指標の意味を図示しているため、直感的にその意味を理解できるようになっています。


<小規模企業の経営分析>
私どものお仕事では、毎月の経理の整理が済むと、「月次試算表」という書類を作り、お客様にお渡ししながら、仕事の現状について話し合いをします。某大手会計事務所チェーンなどは、サービスの一環で、各経営指標を自動計算し試算表と共にお客様にお渡ししているようです。

私も負けじと工夫を凝らし、グラフ化しているのですが、時々小規模企業で「経営分析」がどこまで有効なのか疑問を感じます?
ROA(総資産利益率)ROE(総資本利益率)、自己資本比率や配当性向など、経営効率・利回り系の指標は殆ど役だたないと思います。
小規模企業の殆どは「社長=唯一の株主」であり、また、財務計画等も手段や範囲が限られているので資本効率系のお話をしても、殆ど意味が無いのです。

自己資本比率にしても同様です。数値の計算は簡単にできますが、それでどうします?「もっと自己資本を入れましょう」「借入れを減らしましょう」などと言うアドバイスは全く意味を成しません。


<ベーシックで地に足のついた点検を>
結局、最も意味があるのは、月別の売上高の前年比較とか、原価率の推移とか、在庫回転率とか売掛金の回収期間の管理や手形のサイトなどキャッシュ・フロー系の極めてベーシックな指標になってしまいます。

外部株主が存在し、投機の対象とされている企業と、自営業の延長としての会社経営では同様の「経営分析」を論じるのは無理があると思います。小規模企業では、経営指標云々よりも、試算表を見て、実際に先月何があったのか、どんな活動をしてその結果がこうなっているのかと思いを巡らす事が大切だと思います。

(静岡市立御幸町図書館所蔵)







  


Posted by 書架の番人 at 08:08会計

2013年09月24日

超高速会計勉強法

超高速会計勉強法
国貞克則 著




<凄腕経営コンサルタント>
この本は、なんとマンガです。財務3表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)の繋がりと会社実務との関係を易しく解説することを目的としています。

本書の凄腕経営コンサルタント会田計介は会計のノウハウを使って経営不振会社の再建をサポートする事を生業としています。町工場を営む「益子家具」は会田の到着を待たずして倒産してしまいますが、会田は社長の一人娘「益子明日美」と偶然バーで出会います。本書は彼女が「漆器事業」で再出発する物語を軸に展開していきます。


<父親の町工場倒産がコンプレックスに>
主人公会田は子供の頃父親が経営する町工場が倒産し、辛い経験をしました。その際、学生だった彼は「何もできなかった」。その無力感をバネに経営・会計を学びその自分の実力を世に示す事で過去のコンプレックスを覆い隠そうとする少々歪んだ性格の持ち主です。

そのため彼は「数字しか信じない」孤高の人物として描かれていますが、この物語を通して少しだけそのコンプレックスが薄れていきます。


<・・だが事業はうまくいく・・・この俺がいるからだ!>
主人公のセリフです。カッコいいですね。いつかは私も言ってみたい一言です!
とは言うものの、「経理で会社を救えるのか?」 どこかの会計事務所の宣伝文句みたいですが、本当のところはどうなのでしょうか。


<経理は「計器」?>
私は「経理」だけでは会社は救えないと思っています。経理は会社経営を冷静に見つめるためのバロメーター。自動車で言えば「スピードメーター」「タコメーター(エンジン回転計)」「油圧計」「電圧計」だと思うのです。これがいくら立派でも車は走りません。しかし、これが無いと安全な運転は不可能です。ドライバーはこれら計器から情報を読み取りながら自動車を操るわけです。


<総合力が会社を支える>
会社運営と経理の関係もこれと同じではないでしょうか。経理による正確な情報のフィードバックが社長の正しい意思決定をサポートし、従業員のノウハウややる気が加わって総合的に会社は運営されていくものだと思います。

「計器」でいいではないですか。その一助になれるなら、経理に携わる者としてうれしい限りです。

(Amazon.comで購入)



  


Posted by 書架の番人 at 08:11会計

2013年08月20日

経理の合理化

ここまでできる経理の合理化

児玉尚彦 著




<経理は最小限で>
会社を経営する「オーナー社長」の立場からすると、売上に直結しない間接部門の仕事は、コストをかけずに必要最小限の業務に留めたいと考えるのは当然です。限られた資金で商売を切り盛りしていくのですから、こういった考えが無ければやってはいけません。「経理」の仕事などは、この最たるものですね。

しかし、いざ銀行から借入れをしようとしたり、業務の認可等でお役所等へ決算書を提出する時には言われてしまいます。「おたくの会社、もうちょっと経理をしっかりしないとね!」 悔しい思いをされた社長さん方も多いのではないでしょうか。


<経営の把握と経理は別?>
理想を言えば、日々の経理をきちんとこなし、リアルタイムの試算表で経営状態をきちんと把握、日々の経営や取引判断に活用していくのが本来の姿です。しかし、冒頭で記載したとおり、小規模企業にはこのような事をしている会社はありません。怠けている訳でも、いい加減な経営をしている訳でもなく、資金面・人材面の理由で出来ないのです。

それでも、優れた社長さんは、試算表に頼る事なく、会社の状態を把握できています。おそらく、個々の取引ごとの粗利を把握しており、資金決済等も頭に入っています。いわゆる商売のセンスなのでしょうね。感心するのですが、逆にこういった資質がある方でなければ小規模企業の社長は務まらないのでしょう。

一方、大手企業で経験を積んだ後現職に就かれた2代目3代目の社長さんは逆パターンの方が多いのかもしれません。管理業務を重視しコストや時間をしっかりかけて、根拠資料やデータを作らせ、合理的な判断を行おうとします。こちらはこちらで立派です。でもそれが出来るのは、管理部門を支える事ができる「会社の余裕」の恩恵だと思うのです。


<経理の合理化>
「経理」の仕事って何でしょう?「伝票作成」「経費の精算」「領収書の整理」「月末締めの業者への支払い」・・・・なんて言うのが経理のイメージではないでしょうか?

本書前半では、これらの仕事を合理化・省力化するための手段として「小口現金」を廃止し、キャッシュレスにして経費精算を月1回にまとめて処理することを提案しています。単にまとめて伝票起票するのではなく、日常は従業員に立替払いをさせておき、月1回の精算を厳守させようというものです。「給料の支払だって月1回なのだから、立替経費の精算も月1回で充分」とのことです。

営業社員の出張時の少額経費の精算ならともかく、「他人」である従業員に日常的に経費を立替払いさせておくという姿勢は、私は同意しかねます。


<経理を合理化してデキル経理マンを育成>
失意の前半とは変わって、後半は私も賛成です。
単純作業である「伝票作成」「経費の精算」「領収書の整理」等を合理化し、手の空いた経理マンに何をさせるのか?

① 仕事が無くなったので退職してもらう。
② 営業職へ配置換え
③ 決算業務や経営分析・管理業務を担当させる。

答えは、小規模企業で今後の成長が見込めない会社なら①。成長企業であれば②を経由して③なのだそうです。
いきなり③はダメだそうです。本当に生きた③の仕事をするためには、会社全体の事を熟知し、経営者的な視点が必要になります。
従って、いままで経費の精算や領収書の整理をおこなっていた人材がいきなり③を担当しても、形式的に仕事を覚えるだけで社長が望むような仕事はしません。そこで②で他の業務をいくつも担当させた上で、③を担当させるべきだというのです。

・・・・素晴らしい・・・でもそんな人材に成長できたなら、もはや経理マンではなく次期社長では? 

(静岡市立御幸町図書館所蔵)




  


Posted by 書架の番人 at 08:12会計

2013年05月28日

問題です。2,000円の弁当を3秒で安い!と思わせなさい

問題です。2,000円の弁当を3秒で「安い!」と思わせなさい
山田真哉 著




・・・・・ブログ終了宣言から1週間で再投稿することになろうとは・・・・・・
「えぇ!?この本!図書館にもあったんだー」ということで、早速借りてしまいました。どうもこの手の表紙に弱いですね。以下その内容です。

<収入の組み合わせ>
商売は、以下の4タイプに区分できます。殆どの事業は①と②の組み合わせで成り立っていて、このバランスが大切。①で会社や生活維持の最低水準を満たした上で②で成長資金、貯蓄資金を蓄える事が理想です。
①「定期的だが低収入をもたらす仕事」・・・・地道な積み上げの仕事
②「不定期だが高収入をもたらす仕事」・・・・一発屋的な仕事
③「定期的に高収入をもたらす仕事」・・・・・・経済競争により淘汰されすぐなくなる
④「不定期でありかつ低収入な仕事」・・・・・・担い手がいなくなり消滅する


<機会損失・埋没費用>
「豆大福分析からはじまる損得勘定学入門」の解説が簡単に書かれています。
当ブログでも以前この本の紹介記事を投稿したので、この内容は省略します。


<アンカリング効果>
アンカリング効果とは、ある数字に引きずられて判断が左右されてしまうこと。50組に1組無料とか、毎週500円の利息をつけますなどの宣伝文句などはこの効果を使ったものです。同種の高い商品の中にその商品を置いてあると、その商品が安く思えてしまったりするのもこの効果の影響だそうです。

ちなみに、本書の表題となっている「2千円の弁当を3秒で安いと思わせる」の筆者回答は大して内容の変わらない他の弁当に3千円、4千円、5千円の値をつけて2千円の弁当と並べる。というものでした。

私の回答予想は「スキー場で売る」だったのですが・・・・・

アンカリング効果の呪縛から逃れる方法は、割り算・掛け算で単位を変えて比較たり、割合・パーセンテージで考えたり、比較の対象を変えたりする事だそうです。


<老後の蓄え>
老後(60歳~80歳)に夫婦2人が通常の水準で必要とする生活資金は約8千万円だそうです。

(サラリーマン)
このうち会社勤務だった方は国民年金+厚生年金で年間300万円程を受給できます。20年分で6千万円。つまりあと2千万円を予め確保しておけば良い計算になります。大手企業などでは、退職金で2千万円~3千万円が支払われるので、年金と退職金だけで生活していけるということですね。

(自営業)
自営業の方は、国民年金で夫婦2人で年間150万円程の受給ですが、定年が無い分長く働けるため、老後も毎月11~12万の収入が確保できれば、結果的にサラリーマン同様、残り2千万円程度の蓄えがあればよい事になります。

今まで金額を単純に明示してくれる本はあまりなかったので、簡単な記述ではありますが、参考になりました。


<資産運用>
教科書にも書かれている鉄則ですが、老後資金の資産運用は安全性・確実性重視です。著者も「投資は回収してこその投資」「貯金なくして投資なく、利殖なし」と言い、預貯金による積み立て型の資産形成を勧めています。

ちょっと意外だったのが、余裕資金の運用を前提として「株式投資」を勧めていること。ただし値上がり益を目的としたものではなく、配当重視型の投資です。また「株主優待」による収入も重視すべきで、投資元本に対し「株主優待」利益の多いものとして「ビックカメラ」「三越伊勢丹ホールディングス」の実例を紹介しています。投資元本が低額で「配当金+株主優待」が高いものを狙うというのは面白いアイデアですね。私もやってみたくなってしまいました。

(静岡市立御幸町図書館所蔵)


  


Posted by 書架の番人 at 08:10会計

2013年04月05日

賢人の簿記・会計術

賢人の簿記・会計術
山田信哉 近藤仁 高橋和徳 辛抱正記 高橋洋一 著




<新人ビジネスマンにお勧めの1冊>
4月です。多くの職場では新人ビジネスマンを迎えましたね。本書はそんな新人ビジネスマンにお勧めの1冊です。

一見、難しそうな表紙ですが、内容は専門家や上級者を対象としたものではなく、会計全体を会社や実社会に関連付けながら俯瞰的に解説している入門書のような本です。
簿記・会計の仕組み、決算書を見る場合の勘所、キャッシュフローの大切さ、初歩的な財務諸表分析、日本の財政などが簡潔に解説されています。

入門書は易しく書くことに重点を置くため、もう少し上級の知識を持たないと実務で役立てるまでには至りませんが、本書は会計の各分野のエッセンスが紹介されており、これからビジネスマンとしての人生を歩み始めた若者であれば、本書を読むだけでも充分役立つ知識が幾つも身につくと思います。


<簿記はなぜ嫌われる?>
ビジネスマンであっても簿記の事を嫌う人は結構多いように思います。私も従業員として会社に勤務していた時代、「俺の前でトンボを書くな!」(トンボとは簿記で使用するT字勘定のこと・・・つまり簿記の仕訳を書くなという事)という上司が居て会議や打ち合わせの席上、困ってしまった記憶があります。
また、税理士試験の合格科目を会社の自己研修記録に書いて提出した際も、「簿記論」合格よりは「財務諸表論」合格の方がずっと受けが良かった事を記憶しています。何でみなさん簿記を嫌うのでしょうか?

「簿記は一定の規則に従って数字を整理する手法にすぎず、知的労働性に欠ける・・・上位職責者が時間を割いて習得するには値しない」とでも思われているのでしょうか。簿記と財務諸表は表裏一体です。実務では、簿記の手法を積み重ねながら財務諸表を作っていくのです。
難しい論文や学説は理解していても、怪我や病気の患者の手当てができないお医者さんが居たらどう思いますか?

簿記を極める必要はありませんし、実際に簿記の手法を使って決算書を作成する仕事を担当するビジネスマンは少ないでしょう。でも一通りの知識を知っておいた方がビジネスにずっと役立ちます。
簿記3級程度の知識であっても、知っているのと知らないのでは、決算書への理解の深さや応用範囲が全く違ってくると思います。

(静岡市立御幸町図書館所蔵)




  
タグ :簿記・会計


Posted by 書架の番人 at 07:30会計

2013年01月02日

会計士マリの会社救出マル秘大作戦

会計士マリの会社救出マル秘大作戦
秦美佐子著





<双子姉妹の入れ替わり>
2012年最後に読んだ本です。休暇モード中なので、肩の力を抜いて読める本をという選択で本書を選びました。
女性衣類メーカーを立ち上げたギャル社長に代わり双子姉妹なのに性格が正反対の女性会計士が入れ替わって会社を立直すという筋書きの物語です。

<解説されている内容>
本書でとりあげられている事項は以下のとおりです。
①会社の利益とキャッシュフローとの関係
②商品コンセプトの統一と投資の集中
③固定資産・敷金や契約条件等賃貸店舗の管理
④減損会計
⑤税効果会計
各項目についての専門的な解説はありません。興味を持ってもらうことが第1で、専門的な深い解説は他書に譲るというスタンスなのでしょう。会計と経営を繋ぐための入門書という感じの本です。

それでも、「在庫日数」や「減損の兆候」など普段の実務で意識しなければと再認識させられる項目が数点ありました。
あっという間に読める入門書でしたが、読んだ意義はあったと思います。

(静岡市立御幸町図書館所蔵)



  


Posted by 書架の番人 at 00:45会計

2012年10月05日

在庫が減る!利益が上がる!会社が変わる!

在庫が減る!利益が上がる!会社が変わる!
村上悟 著





<TOCによる生産管理の解説本>
本書は工場等の生産管理・在庫コントロールをメインに解説した本です。従来の伝統的な原価計算に頼らず、新たな理論TOC(制約条件の理論)を基にしています。TOCはエリヤフ・ゴールドラッド博士により提唱された理論で、博士の著書「ザ・ゴール」により世界的に知られるようになりました。4~5年前、日本でもベストセラーになりましたね。
「部分最適」「全体最適」などという言葉も当時流行ったように記憶しています。



<TOC理論>
TOC理論は、企業の目標達成を妨げる「制約条件」に注目し、企業業績を改善しようとするものです。
博士は「工場の生産性はボトルネック工程の能力以上は絶対に向上しない」という点に着目し、以下の5つのステップにより改善を行うことを提案しています。

①企業収益を制限しているポイントを発見し、「制約条件」を明確にする。
②「制約条件」によりボトルネックとなっている工程・プロセスを、現在の条件下で最も効率良くフル稼働させる作戦を実行する。
③上記②実現のために全社を挙げてサポートを行う。
④「制約条件」の改善に努め、ボトルネックの許容量を高める。
⑤「制約条件」の変化を常に監視し、継続的に改善を進める。



<具体的には>
もう少し具体的に表現するなら以下のようになるでしょう。

①ボトルネックの発見
工場で、原材料→第1工程→第2工程→第3工程→出荷というプロセスがあると仮定します。この中で、第2工程のある工作機械が旧型で、作業スピードが遅かったとします。

②③ボトルネックを改善
このケースでは第1部門、第3部門の作業スピードをいくら上げても、出荷量は増えません。そこで、第1部門、第3部門の作業スピードを落としてでも第2部門の工作機械をフル稼働させらえる状況を作り出す事に最優先で取り組みます。

④「制約条件」を解消
もし投資を行うなら、第2部門の工作機械の更新へ最優先で充当すべきでしょう。

⑤PDCAサイクル
そして、新型工作機械を第2工程て投入した後は、別の部署が新たなボトルネックとなるはずですので、これを常に監視し、改善していく必要があります。



<スルー・プット会計>
上記ボトルネックを発見・解消し、全体の流れをスムーズにしようとする試みを管理面・会計面からサポートするために考案されたのが「スルー・プット会計」です。

従来の伝統的な工業簿記・原価計算では、ボトルネックの発見やリードタイム、工程間の待ち時間、過剰在庫、納期管理といったものが反映できません。それどころか、固定費となっている間接費を材料消費高等の一定の基準により各工程へ無理に配賦するため、算出された原価が実勢を反映せずこれを基に生産管理の改善策を行うと誤った方向に行動しかねません。

そこで、スルー・プット会計では、(T)スループット  (I)在庫と投資  (OE)業務費用  の3区分で経理を行い状況判断に役立てようというものです。

勿論、管理用の会計であって、財務諸表の作成等とは別物です。



<予備知識が必要かも>
本書前半は工場生産性改善の物語仕立て、後半が理論解説となっています。工場を舞台としているため、「リードタイム」「タッチタイム」「セル方式」「カンバン方式」「ロット」「バッファーサイズ」「有効稼動時間」等専門用語が多く登場します。工場生産に携わった経験のある方、もしくは工業簿記や原価計算の経験のある方でないと、内容を把握するのにちょっと苦労するかもしれません。

(静岡市立御幸町図書館所蔵)



  


Posted by 書架の番人 at 00:45会計

2012年09月28日

豆大福分析 だれもがハマる「損得勘定の落とし穴」のカラクリ

豆大福分析 だれもがハマる「損得勘定の落とし穴」のカラクリ
中元文徳 著





<豆大福を落としたらいくらの損?>
売価100円、仕入値30円の大福を1個落としてしまったら、この店主はいくら損をしたのでしょうか?(※この商品はいつも大人気で、毎日必ず売切れとなります)
売価100円、仕入値30円のドーナッツを1個落としてしまいました、この店主はいくら損をしたのでしょう?(※この商品はあまり人気がなく、残念ながらいつも5個程度売り残して廃棄が生じます)
売価100円、仕入値30円のアイスクリームを1個落としてしまいました、この店主はいくら損をしたのでしょう?(※この商品はいつも2~3個の売れ残りが生じますが、日持ちするので翌日以降に販売できます)

という問いから始まる本で、著者が「会計」の不確実性を説明するために、学生によくする質問だそうです。

答えは、①は100円の損。店頭に並べていれば必ず100円の現金に換わるのですから。
     ②は損失なし。どのみち毎日5個程度の廃棄損が生じているので、
      1個落としても その日の廃棄が4個になるだけです。
     ③は・・・・答えなし(不明)だそうです。


<機会利益・機会損失>
この問いには、商売の上で重要な「機会利益」「機会損失」の概念が含まれています。
在庫管理や取扱商品の品揃えについて重要な考え方です。つまり幅広い商品を揃え、在庫を厚く持てば、「売る」チャンスは広がり、多種多様なニーズを持った顧客の要望に応えることができます。しかし、いわゆる「商品の回転」が悪く、商品管理にコストがかかり、仕入代金の資金繰りにも悩まされます。反対に、売れ筋商品に絞った取り扱いを行えば、「商品の回転」は早く、無駄を省き資金繰りも楽になります。そのかわり、もし商品を揃えていれば売れていたかもしれない一定の売上げは予め諦めることになります。


<㈱調剤薬局クリアの戦略>
「利益が10倍になったある調剤薬局の処方箋」の章は、在庫戦略をキーに会社の考え方や従業員の意識までも大きく変革することに成功した事例として掲載されています。病人に対応する調剤薬局の使命を考え、薬の品揃えを多くし、こまめに在庫確認を行うことで在庫の量自体は減少させたのです。なかなか爽快感があって楽しく読めます。この章だけでも読む価値はあるでしょう。

ただし、どの会社にも当てはまる戦略ではありません。以前このブログに掲載した「ドラッガーと会計の話をしよう」では逆の戦略でした。ワインや料理を売れ筋商品に絞り、一定の機会利益を捨てることで、資金繰りや店舗運営に余裕を持たせたのです。つまりはケースバイケースで、この見極めを上手くやるのが「経営」というものなのでしょうね。


<会計の呪縛>
この本、前半は在庫や機会損失等の話なのですが、後半は現代の会計の限界についての話になります。
会計は定められた一定のルールに従うものであり、そのルールは一定の前提に基づいたものであることを忘れてはならないと言うのです。

例えば始めに示した豆大福の話。会計では①②③ともに30円の営業外損失(搬送中の事故として原価に含めるか販売管理費の雑費処理もあり得る)となります。これは会計が売上については「実現主義」の考え方を採るためです。
つまり「売れた」という事実が発生したとき、初めて100円を計上できるのです。だから会計上の損失は30円です。

でも、30円の損が正しいという事では無いのです。会計上はそういうルールにしているだけなのです。

特に私のように会計・経理を職業にしていると、この事を忘れ「損失は30円に決まっている!」と思い込みがちです。つねに柔らかな頭で物事を見つめられるよう気をつけたいですね。

(静岡市立御幸町図書館所蔵)





  


Posted by 書架の番人 at 00:45会計