2014年03月19日

贈与の手続きと節税が全部わかる本

贈与の手続きと節税が全部わかる本
東京シティ税理士事務所 編著




<身内や友人から最も多い質問>
やっと確定申告に季節が終わりました。私も通常ペースの仕事に戻れそうです。

私事ですが、税理士登録からこの3月末で10年を迎えます。専門学校へ通い、毎年暑い中試験を受けていたあの頃がまだ昨日のことのようですが、月日が経つのは早いものです。

税理士になって、身内や友人から最も多い質問は何だと思いますか? なぜか贈与税なのです。私の身内や友人はサラリーマンばかりなので、所得税や消費税の質問が無いためかもしれません。

その内容は・・・「〇〇があって、そのお金を親に用立ててもらうのだけど、贈与税がかからないようにしたい!どうすればいい?」
・・・・贈与を受けるのに、贈与税がかからないようにって・・・・私は魔法使いではありません。

<相続税の補完税なのですが・・・>
さて、今回の本ですが「贈与税」だけに的を絞った本です。結構めずらしいと思います。大抵の本は「相続税・贈与税」セットの記述で、相続税がメインで贈与税はオマケ的な扱いの本が多いのです。

本書、内容はとても易しく、わかりやすく、かつ実践的です。税金の事だけでなく、贈与の法的要件~といったチョット堅い話から、贈与の手続きなどの実務が書いてあります。後半では、実際の贈与税申告書の書き方や添付すべき書類などの例示もでています。
なかなか良い本ですね。私もこの本を読んで、贈与税がいままでより身近になった気がします。


<「贈与税がかからないようにしたい」への返事>
身内や友人からの質問の話に戻ります。いくら親しい間柄といっても「贈与を受けるのだから税金は払えよ!」と返事をしていては嫌われ者になってしまいますよね。(一応自分では「温厚な性格」のつもりです)

「贈与税がかからない」ための魔法の呪文は以下のとおり。(かなり長くなるので適当に読み飛ばしてください)

1.贈与ではなく借入れにする。
 うそをつけという事ではありません。借入金の約定書を作成し、実際に毎年(毎月)返済をしていってもらいます。きちんと証拠が残るよう預金通帳を通します。一定の利息も払います。 ・・・・という事を長年に渡り続けていると、返済途中で貸主(親)の寿命がきてしまうかもしれません。その場合「貸付金」が相続税の対象になりますが、贈与税より税率は低いですし、相続財産の合計が基礎控除の範囲内なら結果的に税金はかかりません。

2.贈与税の特例措置等を利用する
 贈与税の特例措置を利用して「贈与を受けたが、結果的に贈与税は0円」という方法です。特例措置の適用を受けられる要件に沿った贈与をしてもらうのです。

①直系尊属から受ける住宅取得等資金の贈与税の非課税制度
 20歳以上の者が直系尊属から住宅取得のための資金の贈与を受け、翌年の3月15日までに当該住宅に居住する等一定の要件を満たした場合には、贈与資金のうち1千万円(省エネ・耐震良質住宅)又は5百万円(その他の住宅)までは贈与税が非課税になります。(その年の合計所得2千万円以下であること等幾つか要件あり、なお贈与税の申告は必要)H26年12月末までの制度です。

②相続時精算課税制度(これは贈与税の特例措置ではありませんが・・)
65歳以上の贈与者から20歳以上の推定相続人に贈与があった場合、「相続時精算課税制度」を選択することができます。
この制度を利用すると贈与税は(贈与等の金額-特別控除2,500万円)×20%で計算されます。つまり2500万円まで贈与税はかかりません。ただし、相続が発生した時、相続税の計算上はその贈与は無かったものとして計算します。また相続時精算課税制度で支払った贈与税は相続税の「前払い」という扱いになります。
これも、相続財産の合計が基礎控除以下なら結果的に税金0円で贈与が可能です。

(この制度を利用すると、その人からの贈与については、以後110万円の贈与税の基礎控除が使えないので要注意です)
  

3.贈与税の控除枠を利用する

①配偶者控除の利用
 婚姻期間20年以上の配偶者から、居住用不動産又は居住用不動産取得のための資金の贈与を受けた場合、贈与額から2,000万円が控除して贈与税を計算します。下記②の基礎控除110万円も併せて利用できます。つまり2110万円までは、贈与税はかかりません。(申告は必要です)

②基礎控除年間110万円の利用
贈与税の計算では、誰でも基礎控除110万円が利用できます。1年間110万円まで贈与を受けても贈与税はかかりません。これを利用して毎年分割して贈与を受けるのです。110万円を10年続ければ1,000万円以上贈与税0円で贈与を受けられますね。

4.その他
いっしょに暮らしている親族間では、生活費は誰が負担しても、個人間の贈与にはなりません。これを利用して、生活費は親が全部負担し、子供世代の収入は全て貯蓄に回すという方法でも、結果的に贈与税を0円にする事と同じ効果があると思います。・・・現実的には難しいでしょうか?

そのほかに、信託を利用した直系尊属からの教育資金の贈与の非課税制度などもあります。


今回、とても文字が多くなってしまいました。最後までおつきあいくださった方がいらしたなら、ありがとうございます。

※ 本文中の税法等に係る記述は、簡略化して記載しています。実務上はご自身で法令等を確認し自身の責任で正しくご対応下さい。

(静岡市立御幸町図書館所蔵)


  


Posted by 書架の番人 at 08:11税金