2013年12月03日

見えない空気を売る方法

見えない空気を売る方法
貞方邦介 著

見えない空気を売る方法



<富裕層向けビジネスの接客>
本書の題名となっている「見えない空気」とは、サービス全体の雰囲気、お客様に満足していただくための見えざる努力により支えられている高品質なサービスを指します。石ころや水など価値の乏しいものを巧みなセールス手法により売るという意味ではありません。


<富裕層の立場でしか判らない価値>
本書では、飛行機のファーストクラスのサービスや高級料理店のプライベートなサービスを引用して「富裕層にしか判らないサービスの価値観」を説明しています。エコノミークラスの20倍もの料金を支払って顧客が買うものは、「贅沢な機内食」でも「特別な安全性」でもなく、プライバシーの確保と信頼できるサービスに裏打ちされた快適な時間の提供です。

一般顧客にはこの価値が理解できません。私だって7~8時間の我慢なら当然にエコノミークラスを選択してしまいます。しかし、充分に稼ぐ力を持つ超VIPビジネスマンや人気タレント等にとっては、プライバシーの確保と信頼できるサービスに裏打ちされた快適な時間の提供は、充分その料金に値すると感じるらしいのです。


<サービスの対象を考える>
サービス業は2極分化だと言われます。「誰もが気軽に格安で利用できる機能優先のサービス」か「個別の事情を汲み取りお客様の満足度を最優先させるスペシャルサービス」か。不景気続きだった影響もあり、昨今流行っているサービスは前者のサービスが多いようです。「牛丼屋さん」「ハンバーガー屋さん」「衣装店(UN〇CR〇等)」などはこの最たるものでしょう。

一方で後者のビジネスというのも存在しています。ただし、こちらは一般顧客向けに広告宣伝しない(しても意味が無い)ので、我々の目に触れることがほとんどありません。そうです、富裕層向けサービスはPRすべき対象が一部に限られます。広告宣伝の仕方が難しいですね。


<ホスピタリティー>
個別の顧客の立場や状態・趣味・趣向等を汲み取り、顧客の立場にたって満足のゆくサービスを提供する事。と理解しています。

どのようなサービス業でも、お客様を満足していただこうという姿勢で仕事に臨んでいるはずです。しかし価格を抑えたサービスでは一定の限界があります。単価を抑える分、ボリュームをこなす必要があり、どうしても画一的なサービス提供となります。「ホスピタリティー」をもってお客様に接するというのは一般向けサービスでは難しい面があります。


<サービスの頃合>
サービス業ではその頃合をどの程度のラインで線引きすべきか非常に悩ましいところです。私も比較的低価格の料金設定で一般事業者向けの会計事務所を営んでいます。業務の性質上、できる限りお客様の事情を汲んで処理にあたってはいるつもりですが、反面@25,000円/月の顧問料・代行料でお客様のご要望の全てに応じていては商売として成り立ちません。

この辺を失礼なくお客様に理解していただくにはどうすれば良いか、非常に悩ましいところです。

(静岡市立御幸町図書館所蔵)

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Posted by 書架の番人 at 08:12 │営業・販売

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