2015年09月07日
一番やさしいピケティ「超」入門
一番やさしいピケティ「超」入門
中野 明 著

<経済学は少し苦手です・・・>
「トマ・ピケティ」「21世紀の資本」、今年の年初から話題になっていましたね。ずっと気になっていたのですが、どうも「経済学」という分野には積極的になれません。私自身の基礎知識が乏しいという事も原因ですが、「経済」は自身の力や努力で変えられるものではなく、また自身の仕事に取り入れる直接的な要素が少ない事もその原因だと思います。
「21世紀の資本」はボリュームもあり、ハードルが高いので、この本を選びました。はたしてピケティの意図を正確に把握できたかどうか疑問ではありますが・・・・まぁ、全く知らないよりは良いでしょう。
< 「r>g」 >
資本収益率(r)が恒常的に経済成長率(g)を上回る傾向にあり、この結果一握りの富裕層に富が集中し、やがて大多数が貧困層へと落ちてしまう。ピケティは18世紀以降の税収データや国民経済データを収集して分析し、この「r>g」という現象が一時的なものではなく、恒常的なものであることを指摘しています。貧富の格差が増大し、一握りの人に富と権力が集中してしまう資本主義経済の欠点だと言うのです。
<体験的に思うこと>
なんとなく思い当たる体験があります。今から30年近く前、バブルの時代。私は駆け出しの銀行員でした。大口定期預金を利用される或るお客様へ、その利息を毎月現金で届ける仕事がありました。当時の定期預金金利は7%に迫る水準です。毎月お届けする1ヶ月分の利息が私の初任給を上回っているのです。
1ヶ月分の預金金利 > 私の1ヶ月の給与 これでは、私がいくら働いても、この方には絶対に届きません。格差は広がるばかりです。当時はロクな経済知識も、労働への意欲や向上心もありませんでしたが、それでも「俺は何をやっているのだろうか?」という疑問は心に深く刻まれました。
「r>g」は資本収益率と経済成長率の比較ですので、1ヶ月の金利と初任給の比較は的を射ていません。あえて比較するなら初任給ではなく「給与の伸び率(増加額)」ですね。しかし「富」を手にした人に利益が集まり、貧困層は一生懸命労働しても改善されないという感覚はこんな感じではないでしょうか。
<改善策>
ピケティはこの資本主義の欠陥を改善するために、ある施策を提案しています。所得税の累進課税と世界的資本課税です。偏重してしまう富の蓄積を「税」により是正し再配分しようというもので、ちょっとマルクスと通じるものがあるように感じます。ただしマルクスは資本主義の否定と富の個人所有の廃止(共有)という方向に向かいましたが、ピケティの提案は欠点の補完による資本主義社会の継続です。
<世界的資本課税>
所得税の累進課税は実際多くの国で実践されています。(ただし、ピケティが提唱するものはもっと累進性の強いものでしょう)
一方「資本課税」、こちらはめずらしいですね。「所得」や資本から生じる「利子・配当」「譲渡差益」への課税はありますが、「元本」への課税というのは珍しいです。所有しているだけで、毎年税金がかかるのです。
日本の現在の税制でこれと似たものは「固定資産税」でしょうか。「相続税」「贈与税」も元本に対しての課税ですが、一時点(相続時・贈与時)の課税に過ぎず、毎年の課税ではありません。
<なぜ売れる?>
朧色ながら、ピケティの主張が分かったような気がします。しかし、この主張は現在社会で優位に立ち、富を蓄えている人々にとっては、あまり都合のよい話ではありません。にもかかわらずこれだけの人気です。 一体どんな人(層?)が支持しているのでしょうか。貧困層(私もそうですが)は経済のお話には興味を示しません。成功しているインテリ層は、この話を理解はしても歓迎はしないでしょう。それとも彼らにも何らかのメリットがあるのでしょうか。
(静岡市立御幸町図書館所蔵)

中野 明 著

<経済学は少し苦手です・・・>
「トマ・ピケティ」「21世紀の資本」、今年の年初から話題になっていましたね。ずっと気になっていたのですが、どうも「経済学」という分野には積極的になれません。私自身の基礎知識が乏しいという事も原因ですが、「経済」は自身の力や努力で変えられるものではなく、また自身の仕事に取り入れる直接的な要素が少ない事もその原因だと思います。
「21世紀の資本」はボリュームもあり、ハードルが高いので、この本を選びました。はたしてピケティの意図を正確に把握できたかどうか疑問ではありますが・・・・まぁ、全く知らないよりは良いでしょう。
< 「r>g」 >
資本収益率(r)が恒常的に経済成長率(g)を上回る傾向にあり、この結果一握りの富裕層に富が集中し、やがて大多数が貧困層へと落ちてしまう。ピケティは18世紀以降の税収データや国民経済データを収集して分析し、この「r>g」という現象が一時的なものではなく、恒常的なものであることを指摘しています。貧富の格差が増大し、一握りの人に富と権力が集中してしまう資本主義経済の欠点だと言うのです。
<体験的に思うこと>
なんとなく思い当たる体験があります。今から30年近く前、バブルの時代。私は駆け出しの銀行員でした。大口定期預金を利用される或るお客様へ、その利息を毎月現金で届ける仕事がありました。当時の定期預金金利は7%に迫る水準です。毎月お届けする1ヶ月分の利息が私の初任給を上回っているのです。
1ヶ月分の預金金利 > 私の1ヶ月の給与 これでは、私がいくら働いても、この方には絶対に届きません。格差は広がるばかりです。当時はロクな経済知識も、労働への意欲や向上心もありませんでしたが、それでも「俺は何をやっているのだろうか?」という疑問は心に深く刻まれました。
「r>g」は資本収益率と経済成長率の比較ですので、1ヶ月の金利と初任給の比較は的を射ていません。あえて比較するなら初任給ではなく「給与の伸び率(増加額)」ですね。しかし「富」を手にした人に利益が集まり、貧困層は一生懸命労働しても改善されないという感覚はこんな感じではないでしょうか。
<改善策>
ピケティはこの資本主義の欠陥を改善するために、ある施策を提案しています。所得税の累進課税と世界的資本課税です。偏重してしまう富の蓄積を「税」により是正し再配分しようというもので、ちょっとマルクスと通じるものがあるように感じます。ただしマルクスは資本主義の否定と富の個人所有の廃止(共有)という方向に向かいましたが、ピケティの提案は欠点の補完による資本主義社会の継続です。
<世界的資本課税>
所得税の累進課税は実際多くの国で実践されています。(ただし、ピケティが提唱するものはもっと累進性の強いものでしょう)
一方「資本課税」、こちらはめずらしいですね。「所得」や資本から生じる「利子・配当」「譲渡差益」への課税はありますが、「元本」への課税というのは珍しいです。所有しているだけで、毎年税金がかかるのです。
日本の現在の税制でこれと似たものは「固定資産税」でしょうか。「相続税」「贈与税」も元本に対しての課税ですが、一時点(相続時・贈与時)の課税に過ぎず、毎年の課税ではありません。
<なぜ売れる?>
朧色ながら、ピケティの主張が分かったような気がします。しかし、この主張は現在社会で優位に立ち、富を蓄えている人々にとっては、あまり都合のよい話ではありません。にもかかわらずこれだけの人気です。 一体どんな人(層?)が支持しているのでしょうか。貧困層(私もそうですが)は経済のお話には興味を示しません。成功しているインテリ層は、この話を理解はしても歓迎はしないでしょう。それとも彼らにも何らかのメリットがあるのでしょうか。
(静岡市立御幸町図書館所蔵)
