2013年11月12日
私たち「ユニクロ154番店」で働いていました
私たち「ユニクロ154番店」で働いていました
大宮冬洋 著

<働き方と経営を問う本>
同社は今、日本で活力ある代表的な会社の1つでしょう。本書はそこで働いた従業員たちの回顧録です。本書は職場作りや雇用、ひいては経営方針について問題を投げかけていますが、「労働問題・雇用問題」を問う本ではありません。
本書によれば、同社の従業員の平均年齢は29.3歳。「30歳を前に殆どの社員が辞めていく」「5年で8割が辞める人材排出企業」なのだそうです。数字について真偽を確認した訳ではありませんが、会社として概ねそういう体質なのでしょう。
<原因は?>
何故長続きしないのか?その内容が元従業員や店長へのインタビューにより明らかにされています。長時間労働、厳しい社内規則、めまぐるしく変わる本社からの指示、厳しい信賞必罰性、短期間で即席育成された店長、スーパーバイザー、地域リーダーの人間関係の未成熟さ。このような要素が絡まり短期間で職を離れるのですが、会社の方針がその根底に大きく影響しているのでしょう。
<企業としての人事政策>
私は職業柄、経営者サイドに立って物事を考える事が多いので、「会社に合わない従業員が去っていくのは止むを得ない」「社内皆で仲良くユッタリくつろいでいられては困る」という経営者の感覚はよく分かります。
余裕の少ない小規模企業では、尚更この思いは強いでしょう。経営者は自分の身を削って給料を支払っている感覚なのです。
しかし、反面あまりに短期間で従業員が入れ替わると「ノウハウ」が会社に蓄積されず、いつまでたっても「生まれたて会社」のままです。
成長企業では、これを補うため「業務の標準化」「マニュアル化」を進め、画一的な仕事内容にする手法がよく採られます。
<従業員のやる気>
本書を読んで意外に感じたのが、「従業員のヤル気」です。インタビュー記事の殆どの方が「退職者」であるのに、その内容はどれも当時の仕事に対して前向きなものばかりです。それだけのモチベーションがあるのなら、続ける道は無かったのか?と思ってしまいますが、彼らはドンドン次の仕事を探し転職を繰り返していきます。同じ仕事を続ける事への執着は殆ど無いのかもしれません。
これまで意識していませんでしたが、私自身が「1つの会社に留まり、安定的に働くことが従業員にとって幸せ」という潜在意識を持っていたようです。「1つの会社に留まる」必要は無いのですね。むしろ自分のライフスタイルに合わせて、あるいは新たなビジネススキルを身につけるため、皆さん積極的に仕事を移っているようです。人間としての逞しさや多様性への対応能力の強さを感じます。
そうだとすれば、会社としても従業員への処遇を厚くして長期安定的に働いてもらうという方針はあまり意味を持たないのかもしれません。
その時々で従業員のモチベーションを同じ方向へまとめて、仕事に向かわせるための政策が最も重要ということなのでしょう。
(静岡市立御幸町図書館所蔵)

大宮冬洋 著

<働き方と経営を問う本>
同社は今、日本で活力ある代表的な会社の1つでしょう。本書はそこで働いた従業員たちの回顧録です。本書は職場作りや雇用、ひいては経営方針について問題を投げかけていますが、「労働問題・雇用問題」を問う本ではありません。
本書によれば、同社の従業員の平均年齢は29.3歳。「30歳を前に殆どの社員が辞めていく」「5年で8割が辞める人材排出企業」なのだそうです。数字について真偽を確認した訳ではありませんが、会社として概ねそういう体質なのでしょう。
<原因は?>
何故長続きしないのか?その内容が元従業員や店長へのインタビューにより明らかにされています。長時間労働、厳しい社内規則、めまぐるしく変わる本社からの指示、厳しい信賞必罰性、短期間で即席育成された店長、スーパーバイザー、地域リーダーの人間関係の未成熟さ。このような要素が絡まり短期間で職を離れるのですが、会社の方針がその根底に大きく影響しているのでしょう。
<企業としての人事政策>
私は職業柄、経営者サイドに立って物事を考える事が多いので、「会社に合わない従業員が去っていくのは止むを得ない」「社内皆で仲良くユッタリくつろいでいられては困る」という経営者の感覚はよく分かります。
余裕の少ない小規模企業では、尚更この思いは強いでしょう。経営者は自分の身を削って給料を支払っている感覚なのです。
しかし、反面あまりに短期間で従業員が入れ替わると「ノウハウ」が会社に蓄積されず、いつまでたっても「生まれたて会社」のままです。
成長企業では、これを補うため「業務の標準化」「マニュアル化」を進め、画一的な仕事内容にする手法がよく採られます。
<従業員のやる気>
本書を読んで意外に感じたのが、「従業員のヤル気」です。インタビュー記事の殆どの方が「退職者」であるのに、その内容はどれも当時の仕事に対して前向きなものばかりです。それだけのモチベーションがあるのなら、続ける道は無かったのか?と思ってしまいますが、彼らはドンドン次の仕事を探し転職を繰り返していきます。同じ仕事を続ける事への執着は殆ど無いのかもしれません。
これまで意識していませんでしたが、私自身が「1つの会社に留まり、安定的に働くことが従業員にとって幸せ」という潜在意識を持っていたようです。「1つの会社に留まる」必要は無いのですね。むしろ自分のライフスタイルに合わせて、あるいは新たなビジネススキルを身につけるため、皆さん積極的に仕事を移っているようです。人間としての逞しさや多様性への対応能力の強さを感じます。
そうだとすれば、会社としても従業員への処遇を厚くして長期安定的に働いてもらうという方針はあまり意味を持たないのかもしれません。
その時々で従業員のモチベーションを同じ方向へまとめて、仕事に向かわせるための政策が最も重要ということなのでしょう。
(静岡市立御幸町図書館所蔵)
