2013年02月15日

倒産するとどうなるか

倒産するとどうなるか 内藤明亜 著





<会社が健全な時に一読すべき本>
ドラマや新聞等では時々耳にしますが、実際には「倒産」は身近なものでは無いと思います。
しかし、会社を経営していれば、不幸にして、債務を残したまま会社を畳まなければならない事だって、可能性としてはあるわけです。
その時、どのような手続きが必要なのか、何が行われるのか、その結果、自身がどうなるのか、従業員や取引先はどうなるのか。会社を経営する身であれば、ある程度の事は知識として知っておいた方がよいでしょう。

実際に資金繰りが苦しくなったり、会社の整理を考える段階では、こういった類の本は気が重くて読む気になりません。故に会社が健全な時に一読しておくと良いでしょう。


<どのような状態で倒産するのか>
「手形交換所取引停止処分」等の要因により倒産を余儀なくされるケースもありますが、本書では経営者が自身で倒産のタイミングを判断できる状態であることを前提としています。手形はきっていないが、買掛金や銀行への支払が滞り、頼み込んで待ってもらっているようなケースですね。

倒産を決断する場合の判断基準として本書に掲げられていた項目を記載しておきます。
①会社の財政状態が「債務超過」(資産より負債の方が多い状態)である。
②会社の資金繰りがつかない(近い将来の買掛金・諸経費の支払資金を用意できない)
③事業が利益を生まない(経営を続けると赤字が増える)
④将来的にも回復の望みが無い。

これらの事情により事業の継続を断念することになります。



<倒産の種類>
本書で説明している倒産の分類表を書いておきます。

事業継続-------法的処理----民事再生法
      -------私的処理----(再生型)任意整理

事業廃止-------法的処理----法人の破産
      -------私的処理----任意整理
      -------放置逃亡

事業継続の場合、平たく言えば債権者に債務の一部免除をしてもらい、負担を軽くして事業を立直していきます。
「民事再生法」という法律に則って行う方法と、債権者同士と会社の同意に基づいて行う任意整理があります。
会社は存続し、経営者も続投のまま債務を一部免除してもらうのですから、なかなか話をまとめるのは困難です。しかし債権者としても、ここで会社が無くなって債権の殆どが戻ってこないという選択肢よりは、会社を存続させて将来的に少しづつでも返済してもらう方が得なのです。

事業廃止の場合、裁判所に申し立てて「破産管財人」により債権・債務を整理する方法と、経営者が選任した代理人(弁護士)が主体となって債権者と話合いを行って債権・債務を整理していく任意整理という方法があります。

逃亡放置というのは、債権債務の整理を行わず、経営者が姿をくらましてしまう事で、関係者により一層迷惑をかけることになります。しかし、後述するように「倒産」の処理には「お金」がかかるため、その工面ができない場合には、このような選択をしてしまうケースも多いようです。

なお、経営者は債務の「連帯保証人」になっているケースが多く、この場合、会社の債務を引き受けることになるのですが、実際には支払う資金力が無いため個人の「自己破産」をします。



<手続き>
倒産を決意した場合、実務は以下の手順で進めます。(事業廃止・法的処理の場合)

①倒産の方針の確認(上記のどの種類の倒産を選ぶか)
②債権債務の確定(お金に変えられるものがいくらあり、支払うべき債務がいくらあるのか)
③Xデーの設定(債務者や従業員に倒産をいつ知らせるかを決める)
④代理人の選定(弁護士へ依頼します。費用についても確認しておきます)
⑤役員・従業員への説明
⑥家族との将来についての話し合い
   ↓
Xデー:弁護士より全債権者への倒産の通知、裁判所への申し立て、従業員の社屋からの退去
   ↓
裁判所の選任した破産管財人により、債権・債務の整理が行われ、現金化できるものを全て現金に変えた後、その現金の範囲内まで債務者への支払(配当)が行われ、残った債務は切り捨てとなります。
   ↓
以上で倒産手続きが完了し、会社は消滅、経営者は免責となります。



<倒産の費用は?>
具体的には代理人になってもらう弁護士への費用と、裁判所へ支払う予納金(このお金から破産管財人への報酬が支払われます)です。
弁護士費用は案件の会社の規模や難易度によりケースバイケースですが、50万円程~300万円程度とか。

裁判所の予納金は負債総額により変わります
負債総額5千万円未満  法人70万円 個人50万円
  〃   1億円未満   法人100万円 個人80万円
  〃   5億円未満   法人200万円 個人150万円
  ~以下省略~
 (東京地方裁判所の例示として本書に掲げられていた金額です)

なお、法人とその代表者の破産をセットで予納金20万円の「少額管材」という扱いも裁判所によってはあるそうです。


<専門性の高い弁護士さんへ相談を>
今回、本書をこのブログの記事に載せて良いものか、かなり迷いました。本の紹介を書いているに過ぎないのですが、その内容は私の仕事の守備範囲を大きく外れている上に、非常に専門性の高いものです。

その上「倒産」というのは経営者にとって最もいやな話題です。幸いにして私の担当するお客様で「倒産」に至ったケースはありません。しかし、もしそのような可能性について現実的に考えている方が目にすれば、決してよい気持ちは持たないはずです。

でも、あえて載せることにしました。この様な知識の断片であっても、経営を行う上でのプラスにはなるはずです。何も知らない状態で「その時」を迎えオロオロするよりはずっと良いでしょう。
ですから、冒頭に記載したとおり、会社が健全な時に、この類の本を一度読んでおかれると良いと思います。

内容的には、弁護士さんの守備範囲です。実務にあたっては本(ましてやこのブログ記事など)を過信することなく、信頼と実績のある弁護士さんへ必ず相談してください。

(静岡市立御幸町図書館所蔵)



  


Posted by 書架の番人 at 21:55財務管理・資金繰り