2012年05月16日

会社の節税をするならこの1冊

会社の節税をするならこの1冊    税理士法人アーク&パートナーズ 著





仕事柄、お客様から節税に関するご質問をお受けする事がよくあります。

税法や会計に関する知識や経験があれば、ある程度の節税策は誰でも思いつくのですが、
おおむね下記のいずれかに当てはまってしまい、実践できないものが多いのです。

①実践すると納税額は減るが、それ以上に会社から「経費」や「資産の取得」で資金が流出してしまうもの。
 ~社屋の建替え、社用車の買い替え、保険への加入、慰安旅行の実施、決算賞与の支給~

②実践しても、効果がごく僅か若しくは1回限りで、かえって業務を混乱させる懸念があるもの。
 ~売上・仕入の認識基準の変更、棚卸資産の評価方法の変更、細かな未払費用の拾上げ計上~

③子会社や第三者への贈与等を絡めた組織的なもので、準備に多くの時間と手間を要するもの。
 ~会社の分社化による税率引下げ、免税期間の活用、自社株を利用した節税策~

④すでに殆どの会社・事業主が実践済みで、わざわざ「節税策」と言う程のテクニックでは無いもの。
 ~1件30万円未満の資産の取得価格の損金算入、未払給与・未払社会保険料の損金算入、一人単価5千円未満の飲食代の全額損金算入(交際費としない)~


本書は、節税のテクニック集です。見やすくやさしい文書で、体系的に項目が整理され良くまとめられています。
記載されているテクニックは残念ながらどれも上記①~④に当てはまってしまうのですが、これは本書が悪いのではありません。

内容としては、序文に記載されている「納税予測に基づき納税額をコントロールする」という考えに大きく興味を引かれました。

例えば、税法では、売上について、原則は物品の引渡し又は役務提供(サービス)の完了をもって収益認識をすることになっています。

この行為(物品の引渡しや役務提供)自体を計画的に行なう事で、売上の計上時期をコントロールできるというものです。
業務計画をしっかり立案し、それに沿って仕事を行なう事で、納税額を想定の金額内に納め、資金繰りをしっかり管理していくと言う事ですね。

これは節税のテクニックと言うものとは違いますが、是非実践したい事だと思います。

(戸田書店静岡本店にて購入)


  


Posted by 書架の番人 at 00:09税金