2012年11月02日

新人OLつぶれかけの会社をまかされる

新人OLつぶれかけの会社をまかされる
佐藤義典 著

新人OLつぶれかけの会社をまかされる



<イタリアンレストラン再建のためのマーケティングのお話>
本書は「つぶれかけの会社をまかされる」という題名ですが、債務整理やリストラの話ではありません。大手旅行代理店から転職したばかりの売多真子さんが、会社の1部門であるイタリアンレストランの立て直しを任されるお話です。
本書は、物語中のレストラン立直しの具体目標を「売上の増加」「顧客数の確保」と定め、「マーケティング」の初歩を解説しています。

初歩的な内容ではありますが、私は個人的にはこの本、とても気に入りました。現場感覚があると言うか、地に足がしっかりついているのです。それゆえしっかりとした説得力があります。



<本書から学ぶ事>
初歩的でシンプルな内容ですが、以下の大切さを学ぶことができます。

1.マーケティングは現場感覚を重視する
小規模な店舗等のマーケティングは、人口分布や世帯数等のマクロ的な情報から絞り込むのではなく、身近な顧客の求めるものを肌で感じ取り、それに応えるような現場感覚を重視したものでなければ機能しない。

2.セグメンテーションは「ベネフィット」で括れ
セグメントで目標顧客を区分する場合、性別・年齢別・収入別・地域別などで区分しがちだが、顧客が求めるベネフィット(便益)の種類で区分する事が本来の姿。顧客がどうしたいのか、「使い方」や「求める物」別に括ると考えると分かり易い。

3.3つの差別化軸
顧客の求める物が明確になったらそれに沿った差別化を行う。差別化は次の3つの軸がある。
  (M・トレーシー、F・ウィアセーマ氏の理論より)
  ①手軽軸-------早い・易い・便利
  ②商品軸-------高品質・新技術・高級感
  ③密着軸-------個々の顧客ニーズに個別対応
この3つは互いに相反する要素が多く、全てを満たすことはできない。基本的にはこれらのどれかに絞る必要がある。
例えば、高級感のあるお店に一部だけ安売り商品を置いたり、割引チケットを配布しては高級感を失う。安さ速さを売りにする店で、顧客別の趣向に合わせて商品・料理を作っていては、スピーディーに商品を提供できないし、価格でも他店に対抗できない。

  
4.具体化のための4P
コンセプトを明確にしたらそれを実務に落とし込む。この時、次の4Pを意識する。
 ①Prodact(売物・商品)②Promotion(広告宣伝・販売促進)
 ③Place(販路・販売チャネル)④Price(価格)
これら全て、お店のコンセプトの基に一貫性をもって行う必要がある。



<分かっていても、できていない>
いずれも基本的で当たり前の事ですが、コンサッルタントの勝さんいわく「皆んな頭では分かっていても、実践できているお店は殆ど無い」のが実情です。

私自身も独立の際は、ターゲット層やコンセプト等を色々考えましたが、今あらためて自分のHPを見てみると、見事に一貫性を欠いていますね。時間を見つけてコンセプトやサービス内容をリニューアルしていこうと思います。

息抜きのつもりで読んだ1冊ですが、得る物のある良い本でした。

(静岡市立御幸町図書館所蔵)

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Posted by 書架の番人 at 00:45 │マーケティング

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