2017年07月08日

実はおもしろい経営戦略の話

実はおもしろい経営戦略の話
野田稔 著

実はおもしろい経営戦略の話



<経営戦略は普段の生活にも役立つ>
けっして表紙に釣られて購入した訳ではありません。私が本書を購入したのは、このフレーズ「経営戦略は普段の生活にも役立つ」に惹かれたからです。何気なく日常生活を送る中でも、実は我々は様々な選択を行っています。

しかし、その全てを、本当に自分の意思によって選択できているのでしょうか。私は様々な広告、キャッチフレーズ、場合によっては選択枝の提示される順序等で、かなり選択を誘導されているのではないかと考えています。 最近そんな事を漠然と考えていたので、「経営戦略は普段の生活にも役立つ」というフレーズは心に響くものがあったのです。


<表紙のインパクト>
表紙に釣られたのでは無い・・・と断言しましたが、この装丁はかなりインパクトがあります。ビジネス書が置かれた本棚にこの本が積まれていれば当然、一旦は視線を奪われます。・・・男性の悲しいサガでしょうか。

しかも、手に取って見ると表裏の表紙ぶち抜きのイラストです。
実はおもしろい経営戦略の話


仕掛け人は著者なのか、編集者なのか分かりませんが、ヤリ手ですね。 ハズシたら「痛い」だけですが。 残念な事に、本書の内容は表紙とは全く関係ありません。

<不確実性>
本書では、「経営は不確実性が多数絡み合った結果であり、過去の事例を研究して理論を構築しても、直接的には現在の経営には役立たない」事を潔く認めています。この点は非常に好感を覚えました。ただ、傾向をつかみ取り、現在の経済動向や環境変化に照らし、対処法等で「使えるものがあれば使う」というスタンスは、非常に良いと思います。

このブログも開設以来200冊近い「ビジネス書」を紹介してきましたが、「不確実性の集積」「使えるものがあれば使う」というスタンスには、心から頷けます。

<緩急をつけて働く>
本書の中の1節で、「労働生産性」の話があり、F1のフェラーリチームと日本のチームのメカニックの働き方についての記述がありました。一般的にF1の整備は「時間との闘い」ですので、メカニックは昼夜を問わず、食事もろくに取らずに取り組みます。しかし、フェラーリチームは決められた時間内でピッチリ仕事を行い、定刻になると美味しい食事をして帰ってしまいます。それでも、結果は日本のチームはフェラーリの整備に及ばないというのです。
本当にそうなのかどうかは分かりませんhが、「技術職」「芸術性の高い職」「専門職」の労働生産性とはそういうものかもしれません。自身に当てはめてみても、1日ベッタリPCに向き合っている日よりも、限られた時間の中で仕事をせざるを得ない日の方が、生産性はもちろん、仕事の「質」も高いような気がします。

<経営戦略は普段の生活にも役立つ・・・の話は?>
最後まで読みましたが、結局一番惹かれた「経営戦略は普段の生活にも役立つ」についての具体的なお話は出てきませんでした。
第1章がこの宣言から始まったのですから、せめて、これらの経営戦略を具体的に日常生活にどう役立てるのかと言う例示や提案はしてもらいたかったです。 この点は、表紙絵が内容と全く絡まない事と同様に、「単なる釣りだったか・・・?」と残念でなりません。

(丸善&ジュンク堂書店 新静岡店にて購入)
※なお、本書は静岡市立御幸町図書館5階の「新刊コーナー」でも見かけましたので、興味をお持ちでしたらこちらを利用しても良いかもしれません。


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Posted by 書架の番人 at 08:19 │経営

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