2012年11月13日

なぜ、いい税理士を顧問にすると、銀行はお金を貸したがるのか

なぜ、いい税理士を顧問にすると、銀行はお金を貸したがるのか
広瀬元義 著

なぜ、いい税理士を顧問にすると、銀行はお金を貸したがるのか



<資金繰りの本です>
変わった題名の本ですね。私自身20年ほど銀行員をやっていました。正直なところ、この本の題名は好きになれないのですが、内容は気になります。

本書は、前半で会社の資金繰りの大切さを説き、中盤で銀行との付き合い方を解説、後半は資金繰り・銀行融資に税理士活用を勧めるという構成となっていました。



<賛同しかねる記述も>
資金繰りはとても重要ですし、日頃から銀行と良好な関係を築くことも大切です。そして、経営に税理士を活用しようというお話も大歓迎なのですが、「それは違うでしょ」と賛同しかねる記述も散見されました。

~例えば~
・銀行マンの稼ぎ・・・一先の融資額600万円×担当先数50×金利2%=年間600万円
 (1件あたりの融資額が低すぎますし、調達金利が全く考慮されていません)

・経理の完全外注化・・・銀行マンからみると第3者の目が行き届き正当な会計が行われている
 (経理を自社でできない会社は、他人に頼まなければ自社の経営状態を把握できない会社では?)

・決算書を赤字にしない方法・・・・例えば減価償却を止める・・・良い税理士なら粉飾せずに黒字にする方法を提案・・・
 (これはやってはいけません。銀行員だって減価償却のチェックぐらいします!)
 (そもそも、会計の手法により赤字を黒字に見せようという姿勢自体が問題では?)

せっかく、資金繰り~銀行対応等良いお話が書いてあるのに、少し残念です。



<融資を引き出せるのは経営者の姿勢と熱意>
担当する税理士の違いで、融資の可否が分かれるのか? 私はそんなことは無いし、あって欲しくないと思います。

小手先の技術で見栄えの良い決算書を作る事に労力を裂くよりも、融資の可否にもっと直接的に影響する事があります。それは経営者の「姿勢」であり事業への「熱意」です。

①自社のビジネスモデル(儲けを生み出す基本的仕組み)を明瞭に説明する。
②今回の借入れに係る資金需要がなぜ生じるのか、明確にする。
③将来の事業の展望とその収益から生じる返済余力を合理的に説明する。
④将来の事業の進展に向け、実際に従業員一同一丸となって取り組んでいる姿勢を見せる。

以上の事を銀行にきちんと説明できれば、融資の可能性はぐっとあがるでしょう。税理士が手助けすべきはそのお手伝いだと思います。事前に社長と打ち合わせを持ち、銀行に対し①~④を説得力ある説明ができるよう準備を行うのです。

多くの場合、融資の可否は自社の将来を左右します。「良い税理士なら見栄えの良い決算書を・・・」など他力本願にならず自身で正面から取り組みたいものです。

(静岡市立御幸町図書館所蔵)

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Posted by 書架の番人 at 00:45 │財務管理・資金繰り

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