2012年09月18日

あらゆる領収書は経費で落とせる

あらゆる領収書は経費で落とせる
大村大次郎 著

あらゆる領収書は経費で落とせる



<自営業者の必要経費>
サラリーマンからみると、自営業者は自由に経費が使え、税金面で非常に得をしているように感じます。当たり前の事ながら、支払ったものがなんでも経費になる訳ではありません。「事業に係るもの」に限定されます。
しかし、この「事業に係る」の明確な線引きが無い(法律では規定しきれない)ために趣旨を拡大解釈する人、厳格に運用しようとする課税当局側で見解が分かれることがよくあります。


<コンビニ弁当は経費で落とせるか>
本書は、領収書や経費にかかる税法や知識を体系的にまとめたものではなく、これはちょっと・・と思える領収書でも解釈と運用次第で経費にできるという例示集です。

~本書が示す経費の一例~
「コンビ二弁当」・・・・・・残業の夜食なら「福利厚生費」で経費計上可。
「飲み代・飲食代」・・・・交際費・会議費で経費計上可。
「コンサートチケット」・・福利厚生費で経費計上可
「ディズニーランド入場券」・・福利厚生費で経費計上可


<経費計上できる要件>
内容にはかなり疑問を感じます。確かに、残業時に従業員皆で夜食を食べれば「福利厚生費」で経費計上できるでしょう。飲み代・飲食代もお客様を接待した事実があれば「交際費」だし、喫茶店で商談をすれば、喫茶代金は会議費でOKでしょう。しかし、あくまでこのような「事実」があって初めて経費にできるのです。

残業時の夜食は、その時残業に従事した者全員に振舞う必要があるでしょう。社長と取り巻きのメンバー数名のみで食べたのでは安い「コンビニ弁当」でも「福利厚生費」として処理するには疑問が残ります。
「コンサートチケット」「ディズニーランド入場券」も社員全員が利用できる状況にあって初めて「福利厚生費」として処理できるでしょう。(福利厚生費は概ね社員全員が同様に利用できる事が必要です)


<節税効果>
解釈を拡大して無理に経費に計上する目的は、言うまでも無く税負担の軽減でしょう。しかし「福利厚生費」とするために従業員全員に夜食を提供したり、コンサートのチケットを配布しては、節税効果よりこちらの支出の方が多くなってしまい本末転倒です。個人事業主なり、会社オーナーが経費で落としたいのは自分だけが利用した「コンサートチケット」であり、自身の飲食代金でしょう。そうであれば、原則「経費にはできない」が結論であり、「あらゆる領収書は経費で落とせる」とは言えないはずです。


<領収書集めは不毛な作業>
自営業者の方で確定申告が近くなると、親戚・知人から領収書やレシートをかき集める人がいるようです。
まさか・・・あり得ないと思っていましたが実話のようです。(私の担当するお客様ではありません)

寄せ集めた領収書では、その日付の行動と事業内容が辻褄が合わず、税務調査があれば無残な結果が待っています。不毛な努力をして税金を減らすよりも、本業でより多く稼ぎましょう。

(Amazon.comにて購入)

あらゆる領収書は経費で落とせる




タグ :領収書節税

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Posted by 書架の番人 at 00:45 │税金

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