2012年09月04日

生きているうちに相続税をゼロにする方法

生きているうちに相続税をゼロにする方法
武石竜 著

生きているうちに相続税をゼロにする方法



<相続税増税案復活?>
平成22年12月公表の税制改正大綱で、相続税基礎控除の引き下げ示されましたが、東北の震災が影響し、法制化されませんでした。
しかし、税収拡大と相続税課税強化の流れは変わりません。消費税率引き上げが決定された今、相続税についても次の税制改正に再び盛り込まれるのではないかと懸念されるところです。
改正が実現すれば、従来では相続税がかからなかった標準的なサラリーマン家庭でも申告・納税が必要になるケースがでてきます。


<親が元気なうちに話し合いを>
相続の事を親・兄弟と話し合うのは、なんとなく憚られます。親の財産を狙っているように思われたり、自分が多く相続できるように立ち回っていると誤解されるのは誰でも避けたいものです。
しかし、実際には親がしっかりした意思表示ができる間に親兄弟の間で話し合いを行う事は、将来の親族間の争いを避ける意味でも、相続税の節税対策の観点からも極めて有効な事です。
「相続税の負担がどこくらいなのか皆で確認してみない?」と税金の話として声を掛けてみると話し易いかもしれませんね。



<相続対策での優先順位>
相続対策というと、相続税の負担をどれだけ減らせるかに注目しがちですが、それより大切な事があります。優先順位は以下のようになるでしょう。

①相続人どうしが納得のいく財産分与を行う事。
②各相続人が相続財産を自由に利用・処分できるよう分割方法に配慮する事。
③相続税の納税資金を各相続人が確保できるよう配慮して財産分与を行う事。
④相続税の負担をできるだけ減らす事。



<無理の無い節税策を>
地価の高かったバブル期には、土地を担保に金融機関からお金を借りて、その土地の上に賃貸アパートを建てるといた類の相続税対策をよく耳にしましたが、私はこの手の対策はあまり好きになれません。
相続人たちは将来にわたり「賃貸アパートの共同経営」を望んでいるのでしょうか?賃貸建物が建ち、他人が居住者する土地は分割したり売却したりする事が困難になります。税負担と引き換えに失うものもあるのです。

まずは自然体で、相続人が納得できる財産の分与を考え、納税資金の準備を確認し、その上で無理の無い範囲で相続財産を組み替えたり、内容を変えることにより相続税が減らせるかどうかを検討してみましょう。この程度が現実的な一般家庭の相続対策であろうと思います。策を弄して本来の姿を失わないよう気をつけましょう。



<税理士の活用>
相続税の申告を税理士に依頼したのに「相続関連の本などに書かれているような節税アドバイスを提示してくれなかった」と失望される方も多いようです。
税理士は、事実に基づいて申告書類を作成する事が仕事の基本です。すでに財産分与の内容が決まっているのに、その内容を覆すようなアドバイスを積極的に提示したりはしません。

ですので、税理士に依頼される際は「単純に申告書を作って欲しい」のか「財産分与の組み替えも考えた複数パターンの節税アドバイスを提示して欲しい」のか、お客様の希望をはっきり伝えましょう。
そして「節税アドバイス」に重点を置くならば、相続税を得意とする税理士、相続税を専門に扱う税理士を選ぶ方が良いでしょう。また、親が元気なうちに相談すれば、アドバイスの幅もぐっと広がります。


<本書について>
新書版の薄い本ではありますが、内容のしっかりした良い本でした。相続の考え方から具体的な節税策の手法まで、簡潔にしっかりと書いてあります。
ただし、各節税策については、簡単にできるものばかりではありません。易しくわかりやすく書かれているだけに、実行も簡単と錯覚しないようご注意を!

(戸田書店静岡本店にて購入)

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タグ :相続税節税

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Posted by 書架の番人 at 00:45 │税金

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