2015年10月23日

決算書を使う技術

決算書を使う技術
川口宏之 著

決算書を使う技術



<簡素で分かりやすい>
かんき出版のシリーズものの1冊です。このシリーズはシンプルで分かりやすく、時間の無い時や疲れている時でも手に取りやすいため、個人的には好感を持っています。

本書は、冒頭で簡単に貸借対照表や損益計算書の基礎を解説し、その後経営分析に使われる指標を説明、後半は有名企業の決算書を基にその分析の解説をしています。各経営分析指標の意味を図示しているため、直感的にその意味を理解できるようになっています。


<小規模企業の経営分析>
私どものお仕事では、毎月の経理の整理が済むと、「月次試算表」という書類を作り、お客様にお渡ししながら、仕事の現状について話し合いをします。某大手会計事務所チェーンなどは、サービスの一環で、各経営指標を自動計算し試算表と共にお客様にお渡ししているようです。

私も負けじと工夫を凝らし、グラフ化しているのですが、時々小規模企業で「経営分析」がどこまで有効なのか疑問を感じます?
ROA(総資産利益率)ROE(総資本利益率)、自己資本比率や配当性向など、経営効率・利回り系の指標は殆ど役だたないと思います。
小規模企業の殆どは「社長=唯一の株主」であり、また、財務計画等も手段や範囲が限られているので資本効率系のお話をしても、殆ど意味が無いのです。

自己資本比率にしても同様です。数値の計算は簡単にできますが、それでどうします?「もっと自己資本を入れましょう」「借入れを減らしましょう」などと言うアドバイスは全く意味を成しません。


<ベーシックで地に足のついた点検を>
結局、最も意味があるのは、月別の売上高の前年比較とか、原価率の推移とか、在庫回転率とか売掛金の回収期間の管理や手形のサイトなどキャッシュ・フロー系の極めてベーシックな指標になってしまいます。

外部株主が存在し、投機の対象とされている企業と、自営業の延長としての会社経営では同様の「経営分析」を論じるのは無理があると思います。小規模企業では、経営指標云々よりも、試算表を見て、実際に先月何があったのか、どんな活動をしてその結果がこうなっているのかと思いを巡らす事が大切だと思います。

(静岡市立御幸町図書館所蔵)
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Posted by 書架の番人 at 08:08 │会計

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