2012年11月23日

儲かる飲食店の数字

儲かる飲食店の数字
河野祐治 著

儲かる飲食店の数字



<間もなく忘年会シーズンですね>
11月も後半となり、商店街はクリスマス&年末商戦真っ盛りといった感じですね。
12月になると忘年会も多くなるのではないでしょうか。
今回は、飲食店の経営を数字で考える本です。


<3年後の生存率2~3割の厳しい業界>
飲食店は競争も激しく、また食材・家賃・人件費とコストもかかるため、経営は非常に大変だといわれています。開店から3年後の生存率は20~30%、10年後の生存率は10%とも言われています。

それゆえに、売上の動向や食材・人件費等のコスト管理をしっかりすべきなのですが、商売の性質上、仕事が大変で、経営者は毎日多忙を極める一方、運営主体自体は小規模な事業者が多いため、なかなか数字を利用した経営管理まで、手が回らないのが実態です。


<参考になる簡単な指標>
しかし、大雑把であっても、大体のお店運営の目標値は是非把握しておきたいものです。本書が示す飲食店経営の指標を挙げておきます。

・食材+人件費≦売上の60% (食材+人件費をFLコストと呼びます)
・家賃≦売上の10%  (食材+人件費+家賃をFLRコストと呼びます。FLR≦売上高の70%)
・食材の在庫は、3営業日分。(月間で10回転させる)
・借金は月間売上高の3ヶ月分程度までならOK。4ヶ月分で警戒水準。6か月分で危険水準。

店を長く運営されているベテランの社長さん・店長さんには当たり前の指標かもしれません。


<品揃えで参考になるクロスABC分析>
品揃えの選定も難しいところです。コスト面では売れ筋商品に絞りたいところですが、集客面では
幅広い品揃えが有利に働きそうですね。本書では、品揃えに「クロスABC分析」を用いる方法を紹介しています。

1.売上額基準
①商品別に売上高の多い順に並べる。
②多い方から順に総売上の70%に達するまでの商品をA、次の20%をB、少ない方の10%をCとグループ分けする。

2.粗利益基準
①商品別に粗利益の多い順に並べる。
②多い方から順に総粗利益の70%に達するまでの商品をA、次の20%をB、少ない方の10%をCとグループ分けする。

3.商品の位置づけの確認
商品ごとに、上記1、2のグループ記号を比べ、商品の位置づけを客観的に明確化する。A-Aなら売れ筋かつ稼ぎ頭商品、C-Cなら廃止候補商品、B-Aならアピール不足商品といった具合です。

ただし、数値化しきれない情報、商品の意義等もあるので(例:ファミリー向けレストランにおける「お子様ランチ」等)注意が必要です。


<お店ごとの特殊事情も>
商売ですので、数字のみで割り切れるものでは無いと思います。また、扱う料理や客層、立地によっても状況は変わるでしょう。しかし、おおよその参考値を頭に入れた上で運営にあたると心強いと思います。


(静岡市立御幸町図書館所蔵)

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Posted by 書架の番人 at 00:45 │経営

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