2012年06月15日

小さなお店の買い方・始め方

小さなお店の買い方・始め方  柏木珠希 著

小さなお店の買い方・始め方


「M&A」・・・時々新聞等で目にする言葉ですね。
企業の買収の事で、簡単に言うとその会社を丸ごと買ってしまうということです。

(実際には「会社」を買うのではなくその会社の「株式」の過半数以上を自分(又は自社)のものにして経営権を取得するという手法で行なわれます)

最近記憶に新しいところでは、「ビックカメラ」が「コジマ電気」を買収しましたね。

小規模な会社や個人事業には縁がなさそうに思えますが、当事者が「M&A」と思っていないだけで、実は身近にこのような例は多いのです。

小規模な会社や個人事業の「買収」は、大きく分けて次の3つの形態で行なわれます。

①店舗内部造作譲渡(居抜き)
 賃借店舗の内装・備品一色全てを他の経営者に譲渡します。

②営業権譲渡
 上記①に加え、お店の名前、従業員、商品(料理)のノウハウ、顧客等も合わせて譲渡します。

③会社(株式)の売買
 会社の株式を譲渡して、会社組織丸ごと他の経営者に譲渡します。

覚えがありませんか?つい最近までやっていた「ラーメン屋」さんが、今月から名前が変わった。でもテーブルの配置やカウンターはこの前までと殆ど変わらない。・・・これ①ですね。よくあります。

このお店いつの間にか経営者が変わってたんだって。・・・・これ②ですね。時々あります。

本書は、こういった取引の長所や短所、留意事項をまとめた本です。易しい文書で内容は実務的でした。

<長所>
・格安に店舗内装や設備(厨房設備・製造機械)等一式を手に入れることができる。
・完全に新規で始める場合に比べ、開業までの準備期間を短縮できる。
・顧客や仕入先、ノウハウ等の無形の財産を引き継ぐことができる。
・前オーナー時の客層を事前に研究することで、客層・時間帯・集客範囲等の検討をし易い。

※ 賃借店舗の居抜きの場合、かなり買い手有利に交渉ができるようです。
  前オーナーは、買い手がつかなければ、現状復帰(つまり取り壊し)して家主へ返しますので
  費用がかかりますし、退去日が決まっているため、早く決着しなければならないからです。

<短所>
・内装・設備が中古であり、顧客から見て新鮮味に欠ける。
・自分が思うとおりの店舗レイアウトが出来ない。
・前オーナー時の経営イメージを引きずることが多い。

一番大切な事は。「前オーナーはなぜ撤退(廃業)するのか」「自分(買主)はどのように運営していくつもりなのか」の2点ではないでしょうか。
前オーナーが儲からないと見切りをつけて撤退するのであれば、それを引き取って同じ事をやっても結果は同じでしょう。

(静岡市立御幸町図書館所蔵)
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Posted by 書架の番人 at 00:25 │経営

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