2014年11月06日

会社の正しい終わらせ方

会社の正しい終わらせ方
筒井 恵 著

会社の正しい終わらせ方



<久しぶりの投稿です>
この1ヶ月、事務所の引越しをしていたので、こちらは完全にお留守になってしまいました。
開業ではなく、移転なので、現業の仕事を引きずりながらの作業となり、本当に余裕がありませんでした。
・・・言い訳です。・・・・・・


<法人の意義>
会社法の改正により、資本金規制が無くなって久しいですね。これにより、商売を営む方の多くが法人化する傾向がより顕著になったのではないでしょうか。名刺にも「代表取締役」なんて記載できますし、振込先を指定する時にも格好がいいですものね。
中には、「法人」形態でないと取引しません・・・なんて取引先もあったり、個人事業は掲載不可の広告媒体があったりしますので、実務上のメリットもあるのでしょう。


<後始末>
しかし、その影響で、「ゾンビ」化した法人も多く存在しています。 夢破れ、活動・存続ができなくなった法人は、本来はきちんと解散・清算手続きをとるべきなのに、その余裕がなく放置されてしまっている「登記上」だけの法人です。個人事業であればこういった手続きも不要なのですが、そこまで考えずに法人化してしまったのでしょうか。・・・と言うより、創業時には上手くいかない将来の想定なんてしませんものね。


<中小企業への外形法人課税の導入>
今年も、あと1月ほど経つと「税制改正大綱」が発表されると思います。先日新聞で読みましたが、「中小企業」についても「外形標準課税」の導入が検討されているのだとか・・・・。

現在の中小企業への法人課税は、利益(所得)に対する課税の他に僅かばかりの法人県民税・市民税の各均等割額が課される方式となっています。平たく言えば、静岡市の資本金1千万円以下の法人だと、赤字であれば、年間71,000円の県民税・市民税のみ支払えば良いのです。
(別途消費税の納税は必要です)

これが、外形標準課税を導入されると、「資本金」「給与支払額」「支払家賃」等を基準に一定の税金が課されるため、赤字法人であっても一定の納税負担(現在の71千円より増える)が生じるのです。

こうなると、「個人事業主」を選択する方がまた増えるかもしれませんね。


<筆者の倒産体験談>
さて本書は、めずらしい。中小企業診断士による夫の会社の倒産体験談です。明るく、しっかりした文章で綴られていますが、ご夫婦にとってはかなりショッキングな出来事であったと思います。

結果的に、どうしても「仕入先」「販売契約先」には金銭的なご迷惑をかけることになりますし、転職先を世話できたとはいえ、従業員にとっても苦渋の選択であった事でしょう。(余計な心配ですが、「会社の正しい終わらせ方」などという本書の題名をご迷惑をおかけした方々がご覧になったらお叱りを受けるのでは?)
また最終的に「個人保証」から筆者がどう逃れたのか詳細は不明で、その辺の交渉等の経緯が気になるところです。

(静岡市立御幸町図書館所蔵)

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Posted by 書架の番人 at 08:12 │経営

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