2013年05月04日

ランチェスターNo.1理論

ランチェスターNo.1理論
坂上仁志 著

ランチェスターNo.1理論



<有名なランチェスター戦略>
小規模な会社の経営について学ぼうと志した方でこの戦略名を知らない方はいないでしょう。「弱者」が「強者」に勝つための理論として有名です。(ただしこれはランチェスター第一法則です。ランチェスターには第2法則もあり、こちらは逆に強者が戦いを有利に進める法則です。)

いずれも、戦争における武器効率と兵力数の研究結果なのですが、これをビジネスに応用し、自社の競争力を高めようという試みが多くの経営コンサルタントや企業家の方によって行われてきました。

特に起業家の方は、少ない元手で会社を興し、既存の大手企業と競争していくことになるため、ノウハウ本等には必ずと言って良いほど「ランチェスター理論」が紹介されています。仮に名前は知らなくても「オンリー1を目指せ」「一点集中」等の言葉は聞いたことがあるでしょう。


<ランチェスター戦略の基礎>
ランチェスター戦略をビジネスに応用する場合以下の3つを基礎的な考え方に据えます。

①No1主義
 その商品・そのサービス・その顧客層・その地域等の一定の分野で、圧倒的なNo1になることにより、知名度を上げ、競争力をつけようという考え方です。

②足下の敵攻撃の原則
 自分より劣位にある相手と戦い、勝利することで、自身のシェアや勢力範囲を広げ、結果的に自分より優位にある者を凌駕しようという考え方です。戦い易い相手と戦うこと。間違っても強敵と戦って敗れたり、消耗したりしないことです。

③一点集中主義
 目標を1つに絞り、そこに力を一点集中させます。資本力の小さな会社ですから、力を分散させず一点に集中させることで、「その地域」「その顧客層」「その商品」において競争相手に勝利しようというものです。


<そもそも本当に使える理論なのか>
 考え方はわかりましたが、これを自身のビジネスにどう落とし込むのか?一点集中ということは、他の選択の多くをを捨てることになるのだが、商機を逃すのでは?という心配が頭をよぎります。

 本書でも「ランチェスター戦略の実践例」として幾つも有名企業の話が載っていますが、ランチェスター戦略といえばそうも見えるし、違う戦略とも言えるのでは?とか、成功要因は他にあったのでは?と思えるものも多いのです。

 結局、「基礎理論」や「法則」といったものは、それを知っているからといって、それだけで商売のネタになる訳ではありません。本物の商売のネタと組み合わせることで、時として成果を上げることがあるのかもしれませんね。

 なお、本書は「ランチェスター戦略」を非常にわかりやすく、シンプルに解説している良書だと思います。「ランチェスター戦略」の名前jは知っているが、内容はあまりはっきり知らないという方に一読をお勧めします。

(静岡市立御幸町図書館所蔵)

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Posted by 書架の番人 at 08:35 │経営

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