2013年04月30日
その仕事、利益に結びついてますか?
その仕事、利益に結びついてますか?
金児 昭 著
<従業員の会計マインド>
会社勤めをしていると、よく「自分の給料の3倍の利益を上げなければ、自分の給料分を稼いだことにはならない」といわれます。
実際は取り扱う商品や業種にもよりますが、要は「自身の存在もコストの一部である」ことや「会社全体の損益構造の中の自分の仕事の位置づけ」を考えさせられる言葉です。
営業活動では、広告宣伝費用や営業用の旅費交通費・車両費といったコストがかかっていますし、人件費についても「給料・手当」のほかに「法定福利費(社会保険料・労働保険料)」や「福利厚生費」がかかっています。また会社の営業室・事務室を維持管理するためには電気・ガス・水道代や家賃、修繕費等も必要です。これらの事を考えれば逆算すると「給料の3倍の利益」となるのでしょう。
この言葉自体はともかく、本書でも勧めているように、自身の仕事が自社の決算書にどう関わっているか、自身の仕事の成果は、自分の使った経費は自社の決算書の何処に載るのかという事を認識して仕事に臨むとよいでしょう。様々な場面で適切な判断を行う一助となるはずです。
<従業員は経営を考えてくれるのか?>
中小企業の社長向けの経営書や起業の指南書では、従業員に「経営」を意識させるのは基本的に無理だとされています。
結果の全てを自分の富とすることができるオーナー社長と給料制の従業員ではあまりにも立場が違うため、「従業員」に「経営者の視点」をもたせようとするのは無理があるというもので、私もそのとおりだと思います。
しかし、一方でそうでない会社もあります。上場企業等で所有と経営が完全に分離しており、従業員の中で優秀な者が昇格して役員となっていく会社などでは、経営者と従業員に立場の差はあまりありません。このような会社で、上位職を目指していく従業員の方には「経営マインド」「会計マインド」というのは極めて大切なことなのだと思います。本書はこういった大企業に勤務する従業員を対象に書かれた本です。
<仕訳以前に経営あり>
本書の中のコラムの表題の1つです。本筋からは外れますが、含蓄ある言葉なので記録に留めておきます。
私も仕事がら、つい、会社の全ての経済活動は経理(複式簿記)により記録されていると思い込みがちなのですが、そうばかりではありません。本書にあるように経理では「納品」「出荷」「検収」等の事実をもって売上を計上しますが、経済活動において最も大切な瞬間は「受注」だったりします。
また「接待」は会計上では単に経費支出として金額を記録するのみですが、実際はその内容がとても重い接待、逆に後になってみれば必要のなかった接待など金額だけでは表し切れない事実があるわけです。
人件費についても同じです。成長著しく将来有望な人材に支払う30万円の給料と、意欲を失い退職までの時の経過を待っている人への30万円の給料は、経理では同じになってしまいます。
こういった事実を認識し、「会計」は限られた条件下での経営情報であることを謙虚に受け止め、活用していく必要がありますね。
(静岡市立御幸町図書館所蔵)
金児 昭 著
<従業員の会計マインド>
会社勤めをしていると、よく「自分の給料の3倍の利益を上げなければ、自分の給料分を稼いだことにはならない」といわれます。
実際は取り扱う商品や業種にもよりますが、要は「自身の存在もコストの一部である」ことや「会社全体の損益構造の中の自分の仕事の位置づけ」を考えさせられる言葉です。
営業活動では、広告宣伝費用や営業用の旅費交通費・車両費といったコストがかかっていますし、人件費についても「給料・手当」のほかに「法定福利費(社会保険料・労働保険料)」や「福利厚生費」がかかっています。また会社の営業室・事務室を維持管理するためには電気・ガス・水道代や家賃、修繕費等も必要です。これらの事を考えれば逆算すると「給料の3倍の利益」となるのでしょう。
この言葉自体はともかく、本書でも勧めているように、自身の仕事が自社の決算書にどう関わっているか、自身の仕事の成果は、自分の使った経費は自社の決算書の何処に載るのかという事を認識して仕事に臨むとよいでしょう。様々な場面で適切な判断を行う一助となるはずです。
<従業員は経営を考えてくれるのか?>
中小企業の社長向けの経営書や起業の指南書では、従業員に「経営」を意識させるのは基本的に無理だとされています。
結果の全てを自分の富とすることができるオーナー社長と給料制の従業員ではあまりにも立場が違うため、「従業員」に「経営者の視点」をもたせようとするのは無理があるというもので、私もそのとおりだと思います。
しかし、一方でそうでない会社もあります。上場企業等で所有と経営が完全に分離しており、従業員の中で優秀な者が昇格して役員となっていく会社などでは、経営者と従業員に立場の差はあまりありません。このような会社で、上位職を目指していく従業員の方には「経営マインド」「会計マインド」というのは極めて大切なことなのだと思います。本書はこういった大企業に勤務する従業員を対象に書かれた本です。
<仕訳以前に経営あり>
本書の中のコラムの表題の1つです。本筋からは外れますが、含蓄ある言葉なので記録に留めておきます。
私も仕事がら、つい、会社の全ての経済活動は経理(複式簿記)により記録されていると思い込みがちなのですが、そうばかりではありません。本書にあるように経理では「納品」「出荷」「検収」等の事実をもって売上を計上しますが、経済活動において最も大切な瞬間は「受注」だったりします。
また「接待」は会計上では単に経費支出として金額を記録するのみですが、実際はその内容がとても重い接待、逆に後になってみれば必要のなかった接待など金額だけでは表し切れない事実があるわけです。
人件費についても同じです。成長著しく将来有望な人材に支払う30万円の給料と、意欲を失い退職までの時の経過を待っている人への30万円の給料は、経理では同じになってしまいます。
こういった事実を認識し、「会計」は限られた条件下での経営情報であることを謙虚に受け止め、活用していく必要がありますね。
(静岡市立御幸町図書館所蔵)
Posted by 書架の番人 at 08:10
│経営